2025.05.13

発達障害と支援制度についてー5つの支援領域にも注目-

発達障害と支援制度についてやさしく解説|5つの支援領域にも注目

発達障害と支援制度について|5つの支援領域にも注目

近年、「発達障害」という言葉を耳にする機会が増えてきましたが、具体的にどんな特性があり、どのような支援があるのかをご存じでしょうか?
今回は、発達障害の基礎知識から日本における現状、そして実際に利用できる支援制度「障害児通所支援事業」や「放課後等デイサービス」について、効果的な支援に欠かせない5つの支援領域にも触れながら、ご説明していきます。

目次

発達障害の定義と種類

発達障害とは、生まれつき脳の働きに特性があり、主に対人関係や言語理解、行動のコントロールなどに困難を感じる状態を指します。
文部科学省や厚生労働省は、発達障害者支援法(2005年施行)において、以下の障害を含めています。

  • 自閉スペクトラム症(ASD)社会的なコミュニケーションや対人関係の困難、こだわりの強さが見られます。
  • 注意欠如・多動症(ADHD):注意が散漫になりやすく、衝動的な行動や多動が特徴です。
  • 学習障害(LD):知的発達に遅れはないものの、読む・書く・計算するなど特定の分野に困難があります。

これらは外見からは分かりにくいため、誤解されることもありますが、正しい理解と支援により、その子の力を最大限に引き出すことができます。

日本における発達障害の現状

厚生労働省の令和3年度の調査では、全国の通常学級に在籍する小中学生のうち**約6.5%**が発達障害の可能性があるとされています。
文部科学省の平成24年度調査でも、同様の傾向が見られ、「10人に1人が何らかの発達障害の特性を持つ」と言われるほど、社会的認知が広がっています。

診断件数が増えている背景には、決して「発達障害が増えている」というよりも、「気づかれるようになってきた」ことが大きな要因と考えられます。

発達障害への支援の考え方

発達障害は「治す」ものではなく、「支える」ものです。
周囲がその子の特性を理解し、環境を整えることで、生活の質(QOL)が大きく向上します。とくに幼少期から適切な支援を受けることで、将来の自立や社会参加の可能性も広がります。

日本では「合理的配慮」の考え方が広まり、教育・福祉・就労の各現場で支援体制が強化されつつあります。

障害児通所支援事業とは?

「障害児通所支援事業」は、発達に特性のある子どもたちが日常生活や社会性を学べるよう支援する福祉サービスです。主に以下の3種類があります。

  • 児童発達支援(未就学児対象)
  • 放課後等デイサービス(就学児対象)
  • 保育所等訪問支援(保育園や学校への直接支援)

これらの事業は、児童福祉法に基づいて市区町村が運営し、多職種が連携して支援を提供します。理学療法士・作業療法士・保育士・児童指導員などが関わり、子どもたちの発達を多角的に支えます。

支援を行う5つの領域とは?

障害児通所支援では、子どもの個性に合わせて5つの領域からバランスよく支援を行うことが推奨されています。

  1. 認知・学習支援
     発達特性に応じて、視覚支援や個別学習の工夫が行われます。構造化された環境の中で集中しやすくなるよう工夫され、学校での学習を補完する役割も担います。

  2. 言語・コミュニケーション支援
     言葉の発達に課題がある子どもには、絵カードやジェスチャーを使って意思表示をサポートします。SST(ソーシャルスキルトレーニング)も活用され、対人スキルを養います。

  3. 身体・運動支援
     感覚の過敏・鈍麻や運動発達の遅れに対して、遊びや運動療法を通じて発達を促します。体の使い方を学ぶことで、自己調整力や自信にもつながります。

  4. 社会性・対人関係支援
     集団生活のルールや友達との関わりを学ぶためのグループ活動やロールプレイを通じて、協調性や他者理解を育てます。

  5. 生活自立支援
     衣服の着脱、食事、トイレなどの日常動作の習得を支援し、自立への第一歩を後押しします。視覚的スケジュールや手順カードが活用されることもあります。

これらの領域は相互に関連しており、一つの力を伸ばすことが他の発達にも良い影響を与えることが多くあります。

サービス利用の流れ

実際に障害児通所支援を利用するには、以下のステップを踏みます。

  1. 発達相談・受診
     不安を感じたら、保健センターや小児科、発達外来へ。

  2. 市区町村窓口に相談
     障害福祉課などでサービス等利用計画の案内を受けます。

  3. 「障害児通所受給者証」の申請・発行
     利用に必要な「福祉のパスポート」です。

  4. 事業所の見学・契約
     お子さんに合った支援事業所を選びましょう。

  5. サービス開始
     契約後、支援内容と目標を共有しながら通所スタート。

児童発達支援と放課後等デイサービスの違い

  • 児童発達支援:未就学の子どもが対象。遊びや活動を通じて発達を促します。
  • 放課後等デイサービス:小学生〜高校生が対象。学習や生活訓練、余暇活動などを行います。

どちらも家庭や学校以外の「第3の居場所」として、子どもたちが自分らしく成長できる場を提供しています。

沖縄福祉株式会社の障害児通所支援事業のご紹介

沖縄福祉株式会社は、3つの特徴をもった教室を運営しております。

一つ目に「こどもプラス教室」
発達が気になるお子さん(小学生~高校生)や学童クラブなどでお友達関係がうまくいかないお子さんが、放課後に安心して過ごしながら療育を受けることができる認可施設です。
夏休みなどの長期休暇中も利用できます。

学校、保育園・幼稚園、保護者、医療機関、支援センターと協力して、子どもの自立を促すとともに、放課後等の安心して過ごせる居場所作りを行う教室が放課後等デイサービス(未就学児は児童発達支援)です。
こどもプラスでは、運動療育に力をいれて勉強や活動をより充実したものにするための独自のカリキュラムを実施しています。
運動だけでなく、宿題をみるなどの学習支援や料理、お菓子作り、お金の使い方等をお教えいたします。
保育園や幼稚園での集団活動に課題があるお子さんに対して、訪問支援員がサポートをする事業(保育所等訪問支援)も行っています。


二つ目に「ことばの教室ことのは」
言葉を話すようになるのが遅い等、言語発達が気になるお子さんに対して、専門スタッフ(言語聴覚士・作業療法士等)が言語訓練・身体機能訓練を行います。
個別療育の時間では、言語聴覚士と利用児童が1対1となり、児童一人ひとりの発達に合わせた言語・コミュニケーション力を伸ばす訓練を行います。
保育園や幼稚園での集団活動に課題があるお子さんに対して、訪問支援員がサポートをする事業(保育所等訪問支援)も行っています。

三つ目に「彩りーIRODORIー教室」
職場体験や学習、運動をメインとし、将来の夢に向け未来を彩る中高生向けの教室です。
就労支援事業所だけでなく一般企業への職場体験も行っております。

沖縄本島南部から北部に教室があり、利用児童ともに職員も募集しております。
ぜひお問い合わせください。

おわりに

発達障害は「特別なもの」ではなく、一人ひとりが持つ個性の一つです。

大切なのは、社会全体がその違いを理解し、受け入れ、
子どもたちにとって安心して過ごせる環境を整えること。
障害児通所支援事業のような制度や、5つの支援領域を意識した支援を通して、子どもたちの「その子らしさ」を大切に育んでいきましょう。

参考文献・資料

  • 厚生労働省「発達障害者支援の現状」
  • 文部科学省「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒に関する調査」
  • 発達障害者支援法(2005年)
  • 国立特別支援教育総合研究所(2011)「特別支援教育における支援のあり方に関する研究」
  • 日本作業療法士協会(2017)『子どもの作業療法』
  • 国立障害者リハビリテーションセンター(2019)『生活支援技術に関する研究報告』
  • 発達障害情報・支援センター(2020)『発達障害の理解と支援ハンドブック』

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